副業で個人事業主として動き始めた2023年の秋、毎月末の経理作業が本当につらかった。請求書を開いて、金額をコピーして、freeeに貼り付けて、勘定科目を悩んで……それだけで土曜の午前中が消えていた。
「RPA」という言葉は知っていたけど、「どうせ大企業向けでしょ」と思って調べすらしなかった。それが大きな間違いだったと気づいたのは、ある勉強会で「Power Automate無料でも使えますよ」という一言を聞いたときだ。
あれから半年。今は月末の経理作業が8時間→45分になった。その具体的なやり方を、失敗談も含めて全部書く。

最初につまずいたのが、RPAとAIの違いだった。「どっちも自動化でしょ?」と思って適当に進めたら、設定が全部ちぐはぐになって1週間無駄にした。
整理するとシンプルだ。RPAは「手順の再現」、AIは「判断の代行」。この2つは役割がまったく違う。
RPAは、人間がマウスやキーボードでやる操作を記録して自動で繰り返す技術だ。「会計ソフトを開く→データを入力する→保存する」という一連の流れを、ロボットが代わりにやってくれる。
ただし、RPAには弱点がある。「判断」ができない。手書き領収書の文字を読んだり、「この取引は交際費か消耗品費か」を考えたりするのは、RPA単体では無理だ。
そこでAIが補完役として入ってくる。画像認識・自然言語処理を使って、人間が「考えてやっていた部分」を自動化する。OCR(文字認識)で請求書を読み取り、ChatGPT APIで勘定科目を判断する、というイメージだ。
RPAとAIを組み合わせると、「読み取り→判断→入力→保存」という経理業務の全工程が自動で回るようになる。これが「RPA×AI連携」の本質だ。
ツール選びで最初に迷ったのが「どの組み合わせにするか」だ。調べると高機能なツールはいくらでもあるが、副業・個人事業主レベルで月数万円のツール代は払えない。
実際に試した結果、以下の2パターンに絞られた。
| 項目 | パターンA(コスト重視) | パターンB(精度重視) |
|---|---|---|
| RPA | Power Automate(無料プランあり) | UiPath Community Edition |
| AI-OCR | Google Document AI | ABBYY FlexiCapture |
| 会計ソフト | freee / マネーフォワードクラウド | 弥生会計オンライン |
| AI判断 | ChatGPT API | ChatGPT API + DX Suite |
| データ連携 | Zapier / Make | 独自API連携 |
| 月額コスト目安 | 3,000〜5,000円 | 30,000円〜 |
| 向いている人 | 副業・個人事業主・小規模法人 | 中規模以上の法人 |
副業レベルなら迷わずパターンAでいい。私が最初にパターンBを試して初月に2万円超の請求が来て即撤退したという失敗談があるので、素直にパターンAから始めることを強くすすめる。
まずはPower Automateの無料プランで感触をつかんでほしい。
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freeeはAPI連携が充実していて、後述するRPAとの組み合わせがスムーズだった。
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ここからが本題だ。請求書処理を例に、実際に私が動かしているフローを順番に説明する。
最初に絶対やるべきなのが、今の業務フローを紙に書き出すことだ。「そんな準備より早く自動化したい」と思ってスキップしたら、後から設定を3回やり直す羽目になった。
請求書処理の典型的なフローはこうなっているはずだ。
②〜⑤が自動化の対象範囲だ。最初から全部やろうとしなくていい。まず「スキャン→データ抽出」の部分だけ自動化して、動くのを確認してから次に進む。これが一番確実だ。
AI-OCRにはGoogle Document AIを使う。最初に試したとき、精度が60%くらいしか出なくて「使えない」と思いかけた。原因はプロセッサの選択ミスだった。「Invoice Parser(請求書専用)」を選ぶと、一気に90〜95%まで上がった。
設定の手順はシンプルだ。
標準的なフォーマットの請求書なら、取引先名・金額・日付・振込先をほぼ正確に取得できる。手書き領収書は精度が落ちるので、最初はデジタル請求書だけを対象にするのが無難だ。
自動化で一番効いたのが、ChatGPT APIによる勘定科目の自動分類だ。以前は「これ交際費?消耗品費?」と悩みながら1件30秒かけていたのが、ゼロになった。
仕組みはこうだ。OCRで抽出した「取引先名・品目・金額」をChatGPT APIに送り、勘定科目を判断させる。ポイントはシステムプロンプトに自社の勘定科目一覧を事前に設定しておくことだ。これをやるだけで精度が大幅に上がる。
例えば「Adobe Acrobat Pro 月額費用 2,728円」という取引に対して、「ソフトウェア使用料(消耗品費)」と自動で返ってくる。実際に導入後、月間の仕訳作業が8時間→45分になった。残りの45分は例外処理と確認作業だけだ。
ChatGPT APIはOpenAIの公式サイトから取得できる。
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ここまでの処理をつなぐのがPower Automateの役割だ。プログラミングは一切不要で、ドラッグ&ドロップだけでフローが組める。私はコードが書けないが、初回設定は丸1日(実作業6時間程度)で完成した。
フローの構成はこの順番で組む。
最初はエラーが頻発して心が折れそうになるが、ほとんどの原因はAPIキーの設定ミスか、JSONのデータ形式のズレだ。エラーメッセージをそのままChatGPTに貼り付けると、だいたい解決策を教えてくれる。
Power Automateは無料プランでも今回の構成は動く。まず無料で試してみてほしい。
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半年間で何度か痛い目を見た。同じ失敗をしてほしくないので、正直に書いておく。
自動化フローは「普通の請求書」しか想定していないと、イレギュラーなフォーマットが来たときに全部止まる。2023年11月、取引先が請求書フォーマットを変えたせいでOCRが1ヶ月分まるごと失敗していた。気づいたのは